人物

吉田明
よしだあきら (1948-2008)

1948 東京都青海市に生まれる。
1962 独学で窯をつくる。
1972 八王子市美山町御屋敷に客窯を築き、地元の土に取り組み始める。
1994 青梅市沢井に青梅窯を開窯。
1998 東京都西多摩郡日の出町大久野に日の出窯を開窯。
1999 日の出窯工房に朝鮮式割竹登窯を築窯。
2004 ニューヨークで茶陶展。
2005 新潟県十日町市「大地の芸術祭」招聘参加。妻有の土を調査、松代・海老集落に粘土層を発見。
2008 「妻有焼」で地域振興をめざし旧野中小学校に登窯と窖窯を設計、築窯。「妻有焼陶芸センター」開設に尽力する中、60歳で急逝。

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名碗とはなんぞや

茶碗はただ茶を飲むためだけに
どんな茶碗が飲む人に幸を与えるか
それを一途に追求されたものである

一服の茶を飲むためだけに
これだけの思いを寄せられた器はない
器からそれを作った無名人が
どんな人だったか推しはかりながら
その人の人生と自分を重ね合わせているのかもしれない

それを作った人の名もなければ由来もない
何百年前に作られた物でも今出会って
その器から感じられるその人を慈しんでいるのである
いいとかわるいとかと云う事でなく
その人の器がそういうものと出会うのである

自分なりの器を人は選んで
自分なりの器に見合った昔の自分を見るのである
選んだとたんに自分を見る事になる

人間の奥の奥にはこの宇宙に愛されている事を知っているが
認められたり信じられている事を忘れてしまっている
もういいじゃないか

作陶ノート落書き文より